B勘屋(びーかんや)

B勘屋とは、企業の経費を水増しして税金を不正に減らす目的で、偽の領収書を販売する業者 のことです。
B勘屋が扱う領収書は「B勘」と呼ばれ、これは税務署の職員が使う隠語に由来します。税務署では、本物の領収書を「A勘」、偽物の領収書を「B勘」と呼んで区別していたそうです。

B勘屋は、税務署の調査を逃れるため、倒産した企業や実態のないペーパーカンパニーを利用するなど、巧妙な手口で偽の領収書を作成します。
具体的には、会社を設立して領収証を額面の数%で販売し、一定期間が過ぎた段階で会社を倒産させてしまうといったケースもあります。

B勘屋の法的根拠

B勘屋の行為は、脱税を幇助するものであり、租税犯処罰法違反に該当します。
租税犯処罰法は、脱税行為を処罰するだけでなく、脱税を幇助する行為も処罰の対象としています。

具体的には、同法第69条には、「偽りその他不正の行為により、他人の所得税、法人税若しくは相続税の課税標準を減らし、又は還付金を受けるべき金額を増やすべきことを知りながら、その減額又は増加に付き、その申告、請求若しくは申告若しくは請求に関する書類の作成その他便宜を供与した者は、10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金に処する」と規定されています。
B勘屋は、偽の領収書を提供することで、まさにこの条文に該当する行為を行っていると言えるでしょう。

簡単に言うと、他人が税金をごまかすのを手伝うと、10年以下の懲役刑か1,000万円以下の罰金が科せられる可能性があるということです。

また、B勘屋が法人格を有している場合、法人税法違反にも問われる可能性があります。
法人税法第74条には、「偽りその他不正の行為により法人税を免れ、又は不正に還付を受けた者は、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と規定されています。

B勘屋と不動産取引

B勘屋は、不動産取引においても、偽の領収書を用いて脱税を幇助することがあります 。例えば、以下のようなケースが考えられます。

  • 不動産の売買の際に、仲介手数料やリフォーム費用を水増しした偽の領収書を作成する。
  • 不動産賃貸の際に、家賃収入を少なく見せかけるために、架空の修繕費などの領収書を作成する。
  • 不動産を担保に融資を受ける際に、担保物件の価値を実際よりも高く偽装するために、偽の鑑定評価書を作成する。

B勘屋を利用するメリットとデメリット

B勘屋を利用するメリットは、見かけ上の経費を増やすことで、税金を不正に減らすことができる点にあります。
しかし、これはあくまでも違法行為であり、発覚した場合には重い罰則が科せられます 。

デメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

  • 税務調査で発覚した場合、追徴課税や重加算税、延滞税などのペナルティが科せられる。
  • 刑事罰として懲役刑が科せられる可能性もある。
  • B勘屋に弱みを握られ、さらに高額な領収書の購入を強要されるなどのトラブルに巻き込まれる可能性もある。
  • 会社の信用を失墜させる。

B勘屋に関するトラブル事例

B勘屋に関連するトラブルとして、以下のような事例が考えられます。

  • B勘屋から購入した偽の領収書が税務調査で発覚し、多額の追徴課税を課せられた 。
  • B勘屋に支払った代金に見合う領収書が発行されず、金銭トラブルに発展した。
  • B勘屋に会社の財務状況を把握され、脅迫や恐喝などの被害を受けた。

B勘屋の現状と今後の展望

B勘屋は、インターネットの普及により、より巧妙化・多様化しています。また、近年では、税務当局の調査能力も向上しており、偽の領収書を見破られるケースも増えています 。

B勘屋を利用する動機としては、税金に対する不満や、納税の無意味さを感じている経営者もいるようです 。
しかし、B勘屋を利用することは、大きなリスクを伴います。税金を適正に納めることは、企業の社会的責任です。安易な脱税に手を染めることなく、健全な経営を心がけることが重要です。

B勘屋に関する参考文献

B勘屋についてさらに詳しく知りたい場合は、以下の資料が参考になります。

  • 『B勘あり!』飯田真弓/著 – B勘屋の実態を描いた小説

結論

B勘屋は、偽の領収書を販売することで企業の脱税を幇助する存在です。
B勘屋を利用することは違法行為であり、発覚した場合には重い罰則が科せられます。
企業は、B勘屋のような不正業者に頼ることなく、税務コンサルタントなどの専門家のアドバイスを受けながら、適正な税務処理を行うことが重要です。

B勘屋の活動は、単なる脱税幇助にとどまらず、社会全体に悪影響を及ぼします。
脱税によって国の税収が減れば、公共サービスの質の低下や社会保障制度の維持に支障をきたす可能性があります。また、健全な企業が不公平な競争を強いられることになり、経済の健全な発展を阻害する要因にもなります。

B勘屋撲滅のためには、税務当局の調査能力の向上だけでなく、企業側の意識改革も必要です。コンプライアンス意識を高め、倫理的な行動をとることで、B勘屋のような不正業者の温床をなくしていくことが重要です。

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