「マチソワ」という言葉をご存知でしょうか?
演劇、特にミュージカルがお好きな方なら、一度は耳にしたことがあるかもしれません。 この言葉は、近年よく使われるようになった、比較的新しい言葉です。
とはいえ、「マチソワ」という言葉自体は新しくても、その概念自体は古くから存在していました。
この記事では、「マチソワ」という言葉の意味や使い方、歴史的背景、そして現代社会における役割について詳しく解説していきます。
マチソワの意味、由来、歴史
「マチソワ」とは、「マチネ」と「ソワレ」を合わせた言葉です。
- マチネ(matinée): フランス語で「朝、午前」の意味。演劇用語としては、昼公演を指します。
- ソワレ(soirée): フランス語で「夕方、日が暮れた後の時間」の意味。演劇用語としては、夜公演を指します。
つまり、「マチソワ」とは、同じ日に昼と夜の公演を両方観劇することです。
これらの言葉が日本で使われるようになったのは、明治時代、西洋化が進んだ頃だと言われています。
当時、日本は西洋から様々な文化や技術を導入しており、芸術関係はフランスを手本としていました。
機械工学はイギリス、医学はドイツといったように、それぞれの分野で西洋の先進国から専門知識を学び、近代化を推し進めていたのです。演劇用語にフランス語が使われているのも、こうした歴史的背景があるためです。
「マチソワ」という言葉自体は、日本人が作った造語で、海外では通じません。 近年、日本の演劇、特にミュージカルの人気が高まり、ファン同士が交流する中で生まれたと考えられます。
マチソワが使われる文脈と具体例
「マチソワ」は、主に演劇ファンの間で使われています。
特に、ミュージカルファンがよく使う言葉で、ストレートプレイのファンはあまり使わないようです。
具体的には、以下のような文脈で使われます。
- 「今日は○○の公演をマチソワする」
- 「マチソワ間は、近くのカフェで休憩した」
- 「マチソワで観劇すると、役者のコンディションの違いがわかって面白い」
「マチソワする」のように、動詞として使われることもあります。 また、「マチソワ間」のように、昼公演と夜公演の間の時間を指す言葉としても使われます。
例えば、ある舞台の熱心なファンは、「マチソワ」するために、昼公演と夜公演の間の時間を有効活用しようと、食事や休憩場所を事前に計画していました。
人気公演ともなるとチケットの入手が困難な場合もあり、さらに「マチソワ」ともなれば、時間的にも金銭的にも余裕が必要になります。
マチソワに似た言葉や関連する言葉
「マチソワ」に似た言葉としては、「マチネ」「ソワレ」などがあります。
これらの言葉は、「マチソワ」を構成する言葉であり、それぞれ昼公演と夜公演を指します。
また、「マチソワ」と関連する言葉としては、「ジュルネ(journée)」があります。 これは、フランス語で「昼間」という意味で、演劇用語としては昼公演を指します。3回公演がある場合、朝公演を「マチネ」、昼公演を「ジュルネ」、夜公演を「ソワレ」と呼ぶそうです。
さらに、公演を支える裏方として、「スウィング」と呼ばれる役者もいます。
スウィングとは、怪我や病気などで出演者が急遽出演できなくなった場合に備え、代役を務めることができる役者のことです。公演によっては、同じ役を複数の役者が演じる「ダブルキャスト」や「トリプルキャスト」の場合もあります。
これらの言葉は、「マチソワ」で観劇する際に役者の違いを楽しむ上で知っておくと良いでしょう。
「マチソワ」という言葉が使われるようになった背景と現代社会における役割
「マチソワ」という言葉が使われるようになった背景には、以下のような要因が考えられます。
- 演劇、特にミュージカルの人気が高まったこと
近年、日本では演劇、特にミュージカルの人気が高まっています。
そのため、1日に2回公演を行うことも多くなり、「マチソワ」という言葉が生まれる土壌が形成されました。 - SNSの普及
SNSの普及により、ファン同士が情報交換したり、交流したりすることが容易になりました。
その中で、「マチソワ」という言葉が生まれたり、広まったりしたと考えられます。 - ファン意識の変化
従来のファンは、1回の観劇をじっくり楽しむという傾向がありました。
しかし、近年では、同じ公演を複数回観劇することで、新たな発見や感動を得たいというファンが増えています。
例えば、「マチソワ」で観劇すると、時間帯や観客の反応によって、役者の演技や舞台の雰囲気が微妙に異なることに気づくことがあります。
このような違いを楽しむことも、「マチソワ」の魅力の一つと言えるでしょう。
このようなファン意識の変化も、「マチソワ」という言葉の普及を後押ししたと考えられます。 - 推し活の隆盛
近年、アイドルやアニメキャラクターなどを応援する「推し活」が盛んになっています。
この「推し活」は、応援対象への深い愛情表現として、グッズ収集やイベント参加など、様々な活動を含みます。
演劇においても、好きな役者や作品を「推す」という行動が見られ、「マチソワ」もその一環として捉えることができます。
現代社会において、「マチソワ」という言葉は、単なる演劇用語を超えた役割を担っています。
- ファン同士の共通言語
「マチソワ」という言葉は、ファン同士の共通言語として、コミュニケーションを円滑にする役割を果たしています。 - 新たな観劇スタイルの提案
「マチソワ」という言葉は、同じ公演を複数回観劇するという、新たな観劇スタイルを提案しています。
これは、時間帯や観客の反応による舞台の微妙な変化を楽しむという、より能動的な観劇体験と言えるでしょう。 - 演劇文化の活性化
「マチソワ」という言葉の普及は、演劇ファンの増加に繋がり、ひいては演劇文化の活性化に貢献すると考えられます。
マチソワという場所
「マチソワ」は、演劇用語としてだけでなく、大阪にあるカフェの名前としても使われています。 扇町ミュージアムキューブという劇場の1階にあるこのカフェは、「人々が集まり、お茶を飲みながら、知らなかった人とも話ができるお店」として、地域の人々の交流の場となっています。
まとめ
この記事では、「マチソワ」という言葉について詳しく解説しました。
「マチソワ」は、演劇、特にミュージカルファンの間で広く使われている言葉で、同じ日に昼と夜の公演を両方観劇することを意味します。近年、演劇人気やSNSの普及、ファン意識の変化などを背景に、急速に広まりました。
「マチソワ」という言葉は、ファン同士の共通言語としての役割や、新たな観劇スタイルの提案、演劇文化の活性化など、現代社会において重要な役割を担っています。