近年、よく耳にするようになった「キダルト」という言葉。
子供のような趣味を持つ大人を指す言葉ですが、具体的にどのような人たちを指すのでしょうか?
本記事では、キダルトの意味や語源、特徴、社会的な見方などを詳しく解説するとともに、キダルト向けの書籍やウェブサイト、コミュニティについてもご紹介します。

キダルトの意味

キダルトとは、子供(Kid)と大人(Adult)を組み合わせた造語です。
大人になっても子供のような趣味やライフスタイルを楽しむ人々を指し 、子供心を持ち続けている状態を表します。
おもちゃ市場は近年1兆円を超える規模となり 、その成長を支えているのが「キダルト」と呼ばれる大人たちです。
彼らの購買力は高く、子供向けとされてきた商品やコンテンツを積極的に購入することで、市場を活性化させています。

キダルトの語源・歴史

キダルトは、「キッズ(Kids)」と「アダルト(Adult)」を組み合わせた言葉で、「子どもの心を忘れない大人」という意味です 。
韓国やオーストラリアで同時期に流行語となり 、韓国では着せ替え人形を集める、オーストラリアではメールで絵文字を多用するといった特徴がありました 。
日本では「大人買い」という言葉が以前から存在していましたが 、キダルトはそれをより広義に解釈した言葉といえます。

近年のキダルト増加の背景には、70~80年代に子供時代を過ごした世代が経済力を持ち、大人になったことが挙げられます。
また、中国でもZ世代を中心に、高級ブランドとアニメがコラボした商品が人気を集めるなど、キダルト市場が拡大しています。
さらに、ソーシャルメディアの普及も、キダルト文化の広がりに拍車をかけています。
ソーシャルメディアを通じて、キダルト同士が繋がりやすくなったことで、情報交換やコミュニティ形成が活発化しているのです。

キダルトの特徴・行動

キダルトには、以下のような特徴が見られます。

  • 趣味の多様性
    アニメ、漫画、ゲーム、フィギュア、キャラクターグッズなど、子供向けのエンターテイメントを楽しむ 。

    • 例えば、「フォトジェニックリカちゃん」のように、関節が可動するリカちゃん人形で様々なポーズをさせて撮影を楽しむ「リカ活」が流行しています 。 他にも、「オリジナルたまごっち」や「シルバニアファミリー」など、昔懐かしいおもちゃが大人たちの間で人気を集めています。

       

  • コミュニティへの参加:
    オンラインコミュニティやイベントで、同じ趣味を持つ人たちと交流する 。

    • オンラインフォーラムやSNSなどを通じて、自分のコレクションを共有したり、好きな作品について語り合ったりすることで、共通の趣味を持つ仲間と繋がることができます。
  • 高額商品への購買意欲:
    欲しいものがあれば、価格を気にせず購入する傾向がある。

  • ノスタルジア: 子供時代の懐かしいおもちゃやゲームに惹かれる 。
    • 子供の頃に憧れていたシルバニアファミリーの家を大人買いしたり、限定版のフィギュアやプラモデルを収集したりする人もいます。
  • 子供を通して玩具の魅力を再認識:
    子供と一緒に遊んでいるうちに、自分が子供の頃に好きだったおもちゃの魅力を再認識するケースも多いようです。

キダルトに対する社会的な見方・意見

キダルトに対しては、肯定的な意見と否定的な意見の両方があります。

肯定的な意見としては、

  • ストレスの多い現代社会において、キダルト的な趣味はストレス解消や癒しにつながる 。
  • 趣味を通して世代を超えたコミュニケーションが促進される。
  • 個性を表現する手段の一つとして、多様性社会に貢献する。

などが挙げられます。

一方、否定的な意見としては、

  • 大人が子供っぽい趣味に熱中するのは、精神的な未熟さの表れではないかという意見 。
  • 高額なコレクターズアイテムの購入など、経済的な負担が大きいという意見 。
    • 特に、トレーディングカード市場では、高額なカードを求めるキダルトの影響で、子供がカードを手に入れにくくなっているという指摘もあります。
  • 法規制や社会的な認識とのずれ 。
    • 例えば、海外の玩具を個人輸入する場合、国内の認証を受けていない製品の購入が制限されるケースがあり、キダルト層が好きな商品を手に入れにくいという問題があります。

などがあります。

キダルト関連の書籍・ウェブサイト・コミュニティ

書籍

  • フォトジェニックリカ ハツコ エンドウ ウェディングスタイル
    • 大人向けのリカちゃん人形で、ウェディングドレスを着たリカちゃんを撮影して楽しむ「リカ活」ができる商品。 結婚式のウェルカムドールとして飾ったり、結婚式の思い出として残したり、両親へのプレゼントとしても人気です。

 

  • トミカ・プラレール ブロック
    • 3歳から遊べる入門ブロックシリーズ。
      少ないパーツ数で車や鉄道車両が作れる。 ブロックを自由に組み替えて、自分だけのオリジナルビークルを作ることもできます。

結論

キダルトは、大人になっても子供心を忘れない人々を指す言葉です。 アニメや漫画、ゲームといった趣味を楽しむだけでなく、コミュニティに参加したり、高額なコレクターズアイテムを購入したりするなど、その行動は多岐に渡ります。

キダルトは、玩具業界に大きな影響を与えています。
NPDグループによると、12歳以上の「キダルト」は、おもちゃの売り上げの25%を占めており 、年間90億ドルの売り上げに貢献しているという調査結果もあります 。
近年では、アメリカでもキダルト市場が拡大しており、ゲームセンターではエルメスのバッグのような高額商品が景品として登場するなど 、企業はキダルトのニーズに応えるための様々な取り組みを行っています。

キダルトに対する社会的な見方は様々ですが、ストレス解消や世代間交流、自己表現といった点で、現代社会にポジティブな影響を与えている側面もあると言えるでしょう。 また、キダルトの増加は、玩具業界に新たな可能性をもたらしており、より革新的な商品やサービスが生まれることが期待されます 。

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