地震大国である日本では、地震発生時の被害を最小限に抑えるための様々な取り組みが行われています。
その中でも、「地震速報」は、地震の揺れが到達する前に情報を提供することで、人々の安全確保に役立つ重要なシステムです。
本稿では、「地震速報」について、その定義、仕組み、提供される情報の内容、目的と利点、限界と注意点、緊急地震速報との違いなどを詳しく解説し、地震への備えに役立つ情報を提供します。
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地震速報とは?
地震速報とは、地震の発生直後に、震源地に近い地震計でとらえた観測データを解析し、地震の規模や震源地を推定して、各地における強い揺れの到達時刻や震度を予測し、可能な限り迅速に知らせる情報のことです。
地震速報は、地震予知とは異なり、すでに発生した地震の揺れが到達する前に、その規模や到達時刻を予測して知らせるシステムです。
地震速報の仕組み
地震が発生すると、震源からは揺れが波(地震波)となって地面や地中を伝わっていきます。
地震波は主に2種類の波からなり、速いスピードで伝わる波をP波、伝わるスピードは遅いが揺れは強い波をS波といいます。
緊急地震速報は、P波とS波の伝わる速度の差を利用しています。
P波を検知することで、より強い揺れを起こすS波の到達を予測し、警告を発することが可能になるのです 。
具体的には、震源に近いところにある地震計がP波を検知すると、その情報が気象庁に送られます。気象庁では、高感度地震観測網(Hi-net) や国立研究開発法人防災科学技術研究所の地震観測網 など、全国約1,000箇所の観測網から得られたデータ を用いて、震源の位置や地震の規模、震度などを瞬時に計算・予想し、S波が伝わってくる前に強い揺れが来ることをお知らせします。
地震速報で提供される情報
地震速報では、以下の情報が提供されます。
- 強い揺れが予想されていること: 緊急地震速報(警報)では、震度4以上の揺れが予想される地域に警報が発表されます。
- 予想される地域: 警報の対象となる地域が発表されます。
- 震源地: 地震が発生した場所(震源)のことです。
- マグニチュード: 地震の規模を表す数値です。
- 予想震度: 各地の予想される震度です。
- 主要動の到達予想時刻: 各地に強い揺れ(主要動)が到達する予想時刻です。緊急地震速報(予報)で提供されます。
- 津波情報: 津波の発生が予想される場合に発表されます。
- 沖合の津波観測に関する情報: 沖合で観測された津波に関する情報です。
地震速報の目的と利点
地震速報の主な目的は、地震による被害を軽減することです 。具体的には、以下のような効果が期待されています。
- 人命の保護
緊急地震速報によって、人々は強い揺れが来る前に安全な場所に避難したり、身を守る行動をとることができます。 - 二次災害の防止
火の始末や、家具の転倒防止など、事前の対策を促すことで、火災や家屋倒壊による被害を軽減することができます。 - 交通機関の安全確保
電車や新幹線などのスピードを落とすことで、脱線事故などを防ぐことができます。 - 産業施設の被害軽減
工場などでは、機械を停止させたり、危険な物質を安全な場所に移動させることで、被害を最小限に抑えることができます。
地震速報の限界と注意点
地震速報は、地震被害の軽減に大きく貢献するシステムですが、いくつかの限界と注意点があります。
- 震源に近い地域では間に合わない
地震速報は、地震波を検知してから情報を発信するため、震源に近い地域では、速報が強い揺れの到達に間に合わないことがあります。 - 予測に誤差がある
地震の規模や震源地、震度などの予測には、誤差が生じる可能性があります。 - 過信は禁物
地震速報はあくまでも予測情報であり、必ずしも正確とは限りません。 - 異常震域
地震波の伝わり方によっては、震源から離れた場所で揺れが強くなる「異常震域」と呼ばれる現象が起こることがあります。 - 地震の深さ
震源が深い地震の場合、予測の精度が低下する可能性があります。 - 大規模な地震
マグニチュードが大きい地震の場合、地震断層の破壊が長時間続くため、規模の推定に時間がかかり、予測の精度が低下する可能性があります。 - 誤報の可能性
落雷などによって地震計が誤作動し、誤報が出る可能性があります。
地震速報と緊急地震速報の違い
「地震速報」と「緊急地震速報」は、どちらも地震に関する情報を提供するシステムですが、以下のような違いがあります。
緊急地震速報には、「警報」と「予報」の2種類があります。
「警報」は、強い揺れが予想される地域に、ただちに警戒を促すための情報です。「予報」は、各地の予想震度や主要動の到達予想時刻などを提供する情報です。
項目 | 地震速報(震度速報) | 緊急地震速報 |
---|---|---|
発表タイミング | 地震発生後約1分半後 | 地震発生直後 |
提供情報 | 地震が発生した地域 | 強い揺れの到達時刻、震度、長周期地震動階級 |
発表基準 | 震度3以上の地震 | 最大震度5弱以上または最大長周期地震動階級3以上 |
目的 | 地震の発生を知らせる | 強い揺れへの備えを促す |
配信方法 | テレビの字幕スーパーなど | テレビ、ラジオ、携帯電話、防災行政無線など |
地震速報へのアクセス方法
地震速報は、様々な手段で入手することができます。
- テレビやラジオ: 緊急地震速報が発表されると、専用の報知音とともに速報が放送されます。
- 携帯電話・スマートフォン: 緊急速報メールなどを通じて、地震速報を受信することができます。
- 防災行政無線: 地域の防災行政無線を通じて、地震速報が放送されます。
- 専用端末: 緊急地震速報を受信するための専用端末も販売されています。
- 施設の館内放送: 一部の施設では、館内放送で緊急地震速報を知らせる場合があります。
地震速報に関する情報源
地震速報に関する信頼できる情報源としては、以下のものがあります。
- 気象庁: 地震速報や緊急地震速報、地震情報などを提供しています。(https://www.jma.go.jp/)
- 気象業務支援センター: 緊急地震速報の配信事業を行っています。(https://www.jma-net.go.jp/)
- 緊急地震速報配信システム: 気象庁が発表した緊急地震速報を、利用者へ配信するシステムです。
まとめ
地震速報は、地震による被害を軽減するための重要な情報システムです。
その仕組みや提供される情報の内容、限界などを理解し、日頃から地震への備えをしておくことが大切です。
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地震速報は、私たちに貴重な時間を与えてくれます。
しかし、その情報に過信することなく、冷静に状況を判断し、適切な行動をとることが重要です。
日頃から、地震速報を受信した際の行動や避難経路などを確認しておきましょう。
また、家族や地域で防災訓練に参加するなど、地震への備えを強化していくことも大切です。