「ワイプ」とは、画面の隅などに、別映像を小窓のような形で表示する映像演出技法、またはそうした演出がなされた小窓そのものを指します。メインとなる映像の上に、小さな別画面を合成して、同時に表示する手法です。
「ワイプ」の目的
ワイプが使われる目的は、主に以下のようなものが挙げられます。
- 出来事や状況を同時に見せる
メイン映像とは異なる場所で起きている出来事や、別の角度からの映像を同時に見せることで、視聴者に多角的な情報を提供します。 - 出演者の表情を見せる
VTRなどを流している際に、それを見ている出演者の表情を映すことで、視聴者の共感や興味を高めます。 - 情報の補足
メイン映像に関連する補足情報や、解説などをワイプで表示することで、視聴者の理解を深めます。 - 演出効果
画面に動きや変化を加え、視聴者を飽きさせないための演出効果として用いられます。 - CM中の情報提供
CM中に提供クレジット、告知などを出すために使われます。
「ワイプ」の種類
ワイプの形状や使われ方には、様々な種類があります。
- 形状
四角形、円形、ハート型など、様々な形状のワイプがあります。 - 動き
画面の隅に固定されているものだけでなく、画面内を移動したり、拡大縮小したりするワイプもあります。 - 出現/消滅方法
フェードイン/アウト、スライドイン/アウトなど、ワイプを表示/非表示にする際にも様々な演出が用いられます。 - 使用用途
前述の通り、出演者の表情を見せたり、別視点の映像やCGを見せたり、ランキングなどの情報を表示したりと、非常に多岐に渡ります。
「ワイプ」の使用例
- 「このワイプ、いらなくない?」
ワイプの必要性について、スタッフ間で議論する。 - 「このタイミングで、出演者の表情をワイプで抜いてください」
ディレクターが、出演者の表情をワイプで表示するように指示する。 - 「提供クレジット、ワイプで出してください」
CM中に提供クレジットを小窓で表示するよう、スタッフに指示する。 - 「次のコーナーでは、ランキングをワイプで表示します」
番組の次のコーナーで、情報を小窓で表示することを説明する。
「ワイプ」と類似する技術・用語
- PinP (ピクチャ・イン・ピクチャ)
ワイプと同様に、メイン映像の中に別映像を小窓で表示する技術。「PinP」は和製英語で、英語では”Picture in Picture”。「ピクチャー・イン・ピクチャー」と呼ばれることも多いですが、テレビ業界では「ワイプ」が一般的に使われます。 - VTR(ブイティーアール)
ビデオテープレコーダーで収録した映像を指し、ワイプとは異なります。しかし、VTR映像がワイプで表示されることが多いため、混同されることがあります。
「ワイプ」とは、テレビ業界で、画面の隅などに別映像を小窓のような形で表示する映像演出技法、またはその小窓自体を指します。
複数の情報を同時に伝えたり、出演者の表情を見せたり、演出効果を高めたりするなど、様々な目的で用いられます。
使用例からもわかるように、テレビ番組の制作現場では、日常的に使われる用語です。
この解説が、テレビ業界の「ワイプ」についての理解を深める助けになれば幸いです。
複数の情報を同時に伝えたり、出演者の表情を見せたり、演出効果を高めたりするなど、様々な目的で用いられます。
使用例からもわかるように、テレビ番組の制作現場では、日常的に使われる用語です。
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