「セーフティーゾーン」とは、テレビの画面に映る範囲の中で、家庭のテレビでも確実に見切れることなく表示される領域 のことです。
「セーフエリア」「安全領域」「安全圏」などとも呼ばれます。
なぜ「セーフティーゾーン」が必要なのか?
テレビの画面サイズやアスペクト比(縦横比)は、家庭によって様々です。
また、古いブラウン管テレビでは、画面の端が少し見切れてしまう(オーバースキャン)こともありました。
そのため、画面の端ギリギリに重要な情報を配置してしまうと、一部の視聴者には、その情報が見えなくなってしまう可能性があります。
そこで、どのようなテレビでも、確実に見える範囲として、「セーフティーゾーン」が設定 されています。
「セーフティーゾーン」の範囲
「セーフティーゾーン」の範囲は、放送局や番組によって多少異なりますが、一般的には、以下のように設定されています。
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タイトルセーフエリア(タイトルセーフゾーン):画面の上下左右、各5%、内側90%の領域
- 最も狭い安全領域で、ここに重要な文字情報を配置すれば、ほぼ確実に見切れることなく表示されます。
- 主に、番組タイトル、出演者名、テロップなどの、文字情報を配置する際に考慮 されます。
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アクションセーフエリア(アクションセーフゾーン):画面の上下左右、各10%、内側80%の領域
- タイトルセーフエリアよりも広く、ここに主要な被写体や、映像演出を配置すれば、ほぼ見切れる心配がありません。
- 主に、人物の顔や体、商品などの、重要な被写体を配置する際に考慮 されます。
「セーフティーゾーン」の使われ方
テレビ番組制作では、以下のような場面で「セーフティーゾーン」が意識されます。
- テロップ作成
テロップを作成する際には、文字がタイトルセーフエリア内に収まるように配置します。 - カメラワーク
カメラマンは、主要な被写体がアクションセーフエリア内に収まるように、カメラを操作します。 - セットデザイン
セットを組む際には、重要なセットや小道具が、アクションセーフエリア内に収まるように配置します。 - 映像編集
映像を編集する際には、重要な情報がセーフティーゾーン内に収まっているか確認します。
「セーフティーゾーン」の使用例
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「このテロップ、タイトルセーフエリア内に収まってる?」
テロップの文字が、タイトルセーフエリア内に収まっているか確認する。 -
「出演者の顔が、アクションセーフエリアからはみ出さないように、カメラを調整して」
出演者の顔が、アクションセーフエリア内に収まるように、カメラマンに指示する。 -
「このセット、セーフティーゾーンを考慮して、もう少し奥に配置しよう」
セットを配置する際に、セーフティーゾーンを考慮して、位置を調整するよう指示する。 -
「編集の際は、重要な情報がセーフティーゾーン内に収まっているか確認して」
映像編集者に、セーフティーゾーンを意識して編集するよう指示する。 -
「4:3のセーフティーゾーンも考慮して、テロップを作成する必要がある」
4:3の画面比率のテレビでも、テロップが見切れないように、作成する必要があることを説明する。 -
「この映像素材、セーフティーゾーンが狭いから、使用する際には注意が必要だ」
使用する映像素材のセーフティーゾーンが狭いため、テロップなどの配置に注意が必要なことを指摘する。
「セーフティーゾーン」の重要性
「セーフティーゾーン」は、テレビ番組を制作する上で、非常に重要な概念です。
近年では、家庭用テレビの性能が向上したことで、「セーフティーゾーン」を、それほど厳密に守らなくても、問題ない場合も増えてきています。
しかし、「セーフティーゾーン」の考え方は、今でも、映像制作における基本的なルール として、重要視されています。
「セーフティーゾーン」と関連する用語
- オーバースキャン: テレビ画面の端が、映像の一部を隠してしまう現象。
- アスペクト比: 画面の縦横比。4:3、16:9など。
- レターボックス: 16:9の画面で、4:3の映像を放送する際に、上下に表示される黒帯。
- ピラーボックス(サイドパネル): 4:3の画面で、16:9の映像を放送する際に、左右に表示される黒帯や、装飾が施された帯。
主に「タイトルセーフエリア」と「アクションセーフエリア」の2種類があり、番組制作においては、テロップ作成、カメラワーク、セットデザイン、映像編集など、様々な場面で意識されます。
「セーフティーゾーン」は、全ての視聴者に情報を確実に届けるために、テレビ業界で古くから使われている、重要な概念です。
この解説が、「セーフティーゾーン」についての理解を深める助けになれば幸いです。