「ノンモン」とは、テレビ業界で「無音状態」または「音声が入っていない映像素材」を指す言葉 であり、「ノン・モデュレーション(Non Modulation)」の略語 となります。
「モデュレーション(Modulation)」とは
「モデュレーション」は、日本語で「変調」を意味します。
通信や放送の分野では、情報を伝送するために、信号を加工することを指します。 音声信号の場合は、音の強弱や高低を、電波などの信号に変換することを指します。
「ノン・モデュレーション(Non Modulation)」とは
「ノン・モデュレーション」は、「変調されていない」 という意味になり、音声信号においては、「音声信号が含まれていない、または音声信号が加工されていない」 状態を指します。
つまり、「ノンモン」は、音声信号が変調されていない、すなわち「無音」 を表す言葉として使われていると推測できます。
なぜ「ノンモン」が発生するのか?
「ノンモン」(無音状態)が発生する理由は、主に以下の通りです。
- 意図的な演出
無音にすることで、視聴者の注意を映像に集中させたり、緊張感や静寂な雰囲気を演出したりする。 - BGMやナレーションを後で入れるため
音楽やナレーションを、後から映像に合わせて入れるために、あえて音声を入れない場合。 - 同時録音をしていない
インタビューや、記者会見など、状況により、マイクを用いた音声収録をしていない場合。 - 使用可能な音がない、または権利処理がされていない
使える音が無い場合や、雑踏などの音をそのまま使うと、問題が生じる可能性がある場合。 - 機材トラブル
収録時の機材トラブルや、人為的なミスによって、音声が録音されていない場合。 - データ不備
データの破損や、ファイル形式の問題などによって、音声が再生されない場合。
「ノンモン」の使用例
-
「このVTR、ノンモンだけど、どうする?」
音声が入っていない映像素材について、どのように処理するか相談する。 -
「ノンモンの部分に、効果音を入れておいて」
無音状態の部分に、効果音を追加するよう指示する。 -
「今日のロケ、ノンモンで撮影しておいて」
音声は入れずに、映像だけを撮影するよう指示する。 -
「このインタビュー、音が入っていないから、ノンモンだね」
インタビュー映像に音声が収録されていないことを確認する。 -
「ノンモンの映像に、後からナレーションをかぶせる」
無音の映像に、後からナレーションを追加することを説明する。 -
「このシーン、あえてノンモンにして、緊張感を演出してみよう」
演出意図として、無音状態にすることを提案する。 -
「このノンモンの映像、実は、現場で機材トラブルがあって、音が録れてなかったんだ」
無音の映像が、機材トラブルによって、やむを得ず生じたことを説明する。
「ノンモン」と関連する用語
- サイレント
無音、または音声がない映像や映画のこと。 - オフライン編集
主に、映像の構成や、大まかな編集などを、低画質や、プロキシ(代替)データで行う編集作業。 - MA (Multi Audio)
映像の、音を整える最終的な作業工程。
「ノンモン」と「ノン・モンタージュ」との関係
以前は、「ノンモン」を「ノン・モンタージュ」の略として使うケースも見られましたが、現在では、「無音状態」を指すことがほとんどです。
「ノン・モンタージュ」は、「撮影した映像を、基本的にそのまま(=ほとんど編集せずに)使用すること」を指し、現在ではあまり使われない表現です。
意図的な演出、または、後で音を入れることを前提とした収録、機材トラブルなどの理由で発生し、番組制作の現場では、頻繁に使われる用語の一つです。
「ノンモン」は、「無変調」から「無音」を表すと推測され、現在では、この意味で使われることが一般的です。
この解説が、「ノンモン」についての理解を深める助けになれば幸いです。