JavaBeans

「JavaBeans」とは、Javaプログラミング言語で再利用可能なソフトウェアコンポーネント(部品)を作成するための仕様、またはその仕様に基づいて作られたコンポーネントそのものを指します。
簡単に言うと、特定のルールに従って作られた、再利用可能なJavaのクラスです。

なぜ「JavaBeans」が必要なのか?

JavaBeansは、ソフトウェア開発の効率化と保守性の向上を目的として作られました。

  • 再利用性
    一度作成したJavaBeansコンポーネントは、様々なアプリケーションで再利用することができます。
  • 開発効率の向上
    JavaBeansを組み合わせることで、ゼロからプログラムを記述するよりも、効率的にアプリケーションを開発できます。
  • 保守性の向上
    JavaBeansは独立したコンポーネントであるため、修正や変更が容易で、他の部分への影響を最小限に抑えることができます。
  • 視覚的な開発
    JavaBeansは、GUI(Graphical User Interface)開発ツールなどで、画面上に部品を配置するような、視覚的な開発を可能にします。

「JavaBeans」の規約

JavaBeansとして認められるためには、いくつかの規約(ルール)に従う必要があります。主な規約は以下の通りです。

  1. publicなデフォルトコンストラクタを持つ
    引数を持たないpublicなコンストラクタ(クラス名と同じ名前のメソッド)を定義する必要があります。
  2. プロパティはgetter/setterメソッドを持つ
    保持するデータ(プロパティ)には、getXXX() および setXXX() という名前のpublicなメソッド(getter/setter)を用意し、外部からアクセスできるようにします。

    • XXX には、プロパティの名称が入る。例えば、name プロパティなら、getName()setName()となる。
    • boolean型のプロパティの場合、getterはisXXX()とすることもある。
  3. Serializableインターフェースを実装する(推奨)
    JavaBeansの状態をファイルに保存したり、ネットワーク経由で転送したりできるように、java.io.Serializable インターフェースを実装することが推奨されます。

「JavaBeans」の使用例

  • 「画面の入力項目に対応するJavaBeansを作成した」
    ユーザーが入力するデータを格納するためのJavaBeansクラスを作成したことを報告する。
  • 「このJavaBeansは、データベースのテーブルと対応しています」
    データベースのテーブルの各行のデータを格納するためのJavaBeansであることを説明する。
  • 「GUIビルダーを使って、JavaBeansをフォームに配置した」
    GUI開発ツールで、JavaBeansを視覚的に配置して画面を作成したことを説明する。
  • 「JavaBeansの仕様に従って、getterとsetterを定義した」
    JavaBeansの規約に従って、プロパティにアクセスするためのメソッドを作成したことを報告する。
  • 「このJavaBeansコンポーネントは、他のプロジェクトでも再利用できる」
    一度作成したJavaBeansを、別のプロジェクトでも使えることを説明する。
  • 「Strutsで画面遷移を実装する際に、ActionFormとしてJavaBeansが使われます。」
    Strutsと言う、Webアプリケーションフレームワークの代表例を用いて説明する。

「JavaBeans」の例

// JavaBeansの例:ユーザー情報を格納するUserBean

import java.io.Serializable;

public class UserBean implements Serializable {

    private String name;
    private int age;
    private boolean admin;

    // デフォルトコンストラクタ
    public UserBean() {
    }

    // nameプロパティのgetter
    public String getName() {
        return name;
    }

    // nameプロパティのsetter
    public void setName(String name) {
        this.name = name;
    }

    // ageプロパティのgetter
    public int getAge() {
        return age;
    }

    // ageプロパティのsetter
    public void setAge(int age) {
        this.age = age;
    }

    // adminプロパティのgetter (boolean型の場合はisXXX()も可)
    public boolean isAdmin() {
        return admin;
    }
    
    // adminプロパティのgetter
    public boolean getAdmin() {
        return admin;
    }

    // adminプロパティのsetter
    public void setAdmin(boolean admin) {
        this.admin = admin;
    }
}

「JavaBeans」と「POJO」との違い

「POJO(Plain Old Java Object)」は、特定のフレームワークやライブラリに依存しない、プレーンなJavaオブジェクトを指します。
「JavaBeans」は特定の規約に従う必要があるため、「POJO」の一種と言えますが、「POJO」は必ずしも「JavaBeans」ではありません。

  • JavaBeans
    再利用性を高めるための規約に従ったJavaオブジェクト
  • POJO
    フレームワークなどに依存しない、プレーンなJavaオブジェクト
タクヤ
「JavaBeans」とは、Javaで再利用可能なソフトウェアコンポーネントを作成するための仕様、またはその仕様に基づいて作られたコンポーネントのことです。
特定の規約に従って作られ、開発の効率化や保守性の向上に貢献します。
GUI開発ツールでの利用や、Webアプリケーションフレームワークと連携するなど、様々な場面で活用されています。
この解説が、IT業界の「JavaBeans」についての理解を深める助けになれば幸いです。

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