エスカレーション

「エスカレーション(Escalation)」とは、業務やプロジェクトにおいて、問題や課題、依頼などを、より上位の管理者や意思決定者、または専門の担当者、担当部署に対応を引き継ぐこと を指します。
元々は「段階的に拡大する」という意味の英語ですが、ビジネスシーンでは、主に上記のような意味で使われます。

語源

「エスカレーション(Escalation)」の語源は、英語の”escalation”です。
「徐々に増大・激化する」という意味の動詞”escalate”の名詞形で、元々は「エスカレーター」のように、徐々に段階を上げることを表していました。
そこから、上位者や専門部署への対応引き継ぎを意味するようになりました。

「エスカレーション」が必要となる場面

「エスカレーション」は、主に以下のような場面で必要となります。

  • 担当者レベルでは解決できない問題が発生した場合
    技術的なトラブル、顧客からのクレーム、社内ルールに関する問題など。
  • 迅速な対応が求められる場合
    緊急性が高く、上位者や専門部署の判断や対応が必要な場合。
  • 担当者の権限を超える判断が必要な場合
    値引き交渉、契約内容の変更、重要事項の決定など。
  • 担当者が不明、不在の場合
    担当者がはっきりしない、または休暇等で不在の場合。
  • 顧客からの強い要望がある場合
    上位者との面談や、専門部署による対応など。

「エスカレーション」の手順

「エスカレーション」の手順は、企業や組織によって異なりますが、一般的には以下のような流れで行われます。

  1. 問題や課題の発生
    担当者レベルでは対応できない問題や課題が発生。
  2. エスカレーションの判断
    担当者が、状況を把握し、エスカレーションの必要性を判断。
  3. 上位者や専門部署への報告・相談
    上司や関係部署に、問題の内容や状況を報告し、相談。
  4. 対応の引き継ぎ
    上位者や専門部署が、問題の対応を引き継ぐ。
  5. 対応結果の確認・報告
    エスカレーションの結果を確認し、必要に応じて関係者に報告する。

「エスカレーション」のメリット

  • 問題の早期解決
    上位者や専門部署の迅速な判断・対応により、問題の早期解決が期待できる。
  • リスクの最小化
    問題を放置せず、適切な対応を行うことで、リスクを最小限に抑えることができる。
  • 顧客満足度の向上
    迅速かつ適切な対応により、顧客満足度を向上させることができる。
  • 業務効率の改善
    担当者レベルで解決できない問題に時間を費やすことなく、業務効率を維持できる。
  • 組織的な対応の強化
    組織全体で、問題解決に取り組む体制を強化できる。

「エスカレーション」のデメリット

  • 上位者や専門部署の負担増加
    頻繁にエスカレーションを行うと、上位者や専門部署の負担が大きくなる。
  • 担当者の成長機会の損失
    問題を自ら解決する経験が減り、担当者の成長機会を損失する可能性がある。
  • 対応の遅延
    エスカレーションの手順や、承認プロセスに時間がかかり、対応が遅れる場合がある。

「エスカレーション」の使用例

  • 「この件は、部長にエスカレーションしてください」
    担当者限りで対応せず、部長に対応を引き継ぐよう指示する。

  • 「クレームがエスカレーションされてきたので、至急対応をお願いします」
    顧客からの苦情について、上位者に対応を依頼する。

  • 「エスカレーション先が不明な場合は、誰に確認すればいいですか?」
    問題が発生した際に、誰に対応を引き継げばいいか確認する。

  • 「この問題は、技術部門にエスカレーションします」
    技術的な問題について、専門部署に対応を引き継ぐことを伝える。

  • 「エスカレーションの手順を、マニュアルにまとめておこう」
    問題発生時に、スムーズに対応を引き継げるよう、手順を文書化することを指示する。

  • 「エスカレーションされた案件は、最優先で対応します」
    上位者や専門部署に引き継がれた案件は、優先度を上げて対応することを伝える。

  • 「頻繁に、システム障害が報告されるので、開発のマネージャーへエスカレーションした。」
    問題が解決されず、繰り返し報告されるため、上位の管理者へ対応を依頼した。

「エスカレーション」と関連する用語

  • インシデント管理
    障害や問題などの、インシデントを記録・管理すること。
  • SLA (Service Level Agreement)
    サービス提供者と顧客の間で、サービスの品質について合意した文書。
  • OJT (On-the-Job Training)
    業務を通じた、社員教育、人材育成の手法の一つ。
  • PDCAサイクル
    業務を改善する際に用いられる、「計画、実行、評価、改善」のプロセス。
タクヤ
「エスカレーション」とは、業務やプロジェクトにおいて、問題や課題、依頼などを、より上位の管理者や意思決定者、または専門の担当者、担当部署に対応を引き継ぐことです。
問題の早期解決、リスクの最小化、顧客満足度の向上など、様々なメリットがあり、ビジネスシーンやIT業界で広く使われる用語です。
適切に「エスカレーション」を活用することで、組織全体の業務効率や、問題解決能力を向上させることができます。
この解説が、「エスカレーション」についての理解を深める助けになれば幸いです。

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