「エビデンス(Evidence)」とは、「証拠」「根拠」「裏付け」 を意味する英単語です。
ビジネスやITの現場では、「ある主張や判断が、正当であることを証明するための、客観的な証拠や根拠となる情報」 を指します。
口頭での合意や、個人の思い込みではなく、事実に基づく、何らかの記録やデータ が求められます。
語源
「エビデンス(Evidence)」の語源は、英語の”evidence”です。
ラテン語の”evidentia”(明白な、はっきりとした)を語源とし、「証拠」「根拠」「形跡」などの意味を持つ名詞です。
「エビデンス」が求められる場面
「エビデンス」は、ビジネスやITの様々な場面で、以下のような目的で求められます。
- 作業の記録
作業内容や、手順、結果などを記録し、後から確認できるようにする。 - 判断の根拠
意思決定や判断の、客観的な根拠として使用する。 - トラブル発生時の原因究明
問題が発生した際に、原因を特定するための手がかりとする。 - 契約内容の証明
契約内容や、合意事項を証明する証拠とする。 - 品質の証明
製品やサービスの品質を証明する、データや資料とする。 - 報告・説明
上司や顧客などに対して、作業内容や結果を報告・説明する際に使用する。 - コンプライアンス遵守
法令や社内規程を遵守していることの証明。
「エビデンス」の種類
「エビデンス」には、様々な種類があります。具体的な例をいくつか挙げます。
- 文書
議事録、仕様書、設計書、契約書、報告書、メールの送受信履歴など。 - データ
テスト結果、ログファイル、データベースのレコード、アクセス履歴、アンケート結果、売上データ、各種測定値など。 - 画像
画面キャプチャ、写真、図表など。 - 音声
会議や打ち合わせの録音データなど。 - 動画
作業手順の録画、ソフトウェアの動作記録など。
「エビデンス」の具体例
ビジネスシーンにおけるエビデンス
- 議事録: 会議の内容や決定事項を記録した文書。
- 契約書: 契約内容を証明する文書。
- メールの送受信履歴: 業務上のやり取りを記録した証跡。
- 報告書: 業務の進捗や結果を報告する文書。
- アンケート結果: 顧客満足度調査などの結果を数値化したデータ。
IT業界におけるエビデンス
- テスト結果報告書: ソフトウェアのテスト結果を記録した文書。
- ログファイル: システムの動作記録を保存したファイル。
- 画面キャプチャ: ソフトウェアの画面を画像として保存したもの。
- データベースのレコード: データベースに登録されているデータ。
- ソースコードの変更履歴: ソースコードの変更内容を記録したもの。
「エビデンス」取得の注意点
-
過剰な「エビデンス」取得は避ける:
- 必要以上に「エビデンス」を残そうとすると、業務効率が低下する可能性があります。
- 目的に照らし合わせて、本当に必要な「エビデンス」を、見極めることが重要です。
-
個人情報や機密情報の取り扱いに注意する:
- 「エビデンス」に個人情報や、機密情報が含まれる場合は、情報漏洩に十分注意する必要があります。
- アクセス権限の設定や、データの暗号化などの対策を講じましょう。
-
「エビデンス」はあくまでも補助的なものである:
- 「エビデンス」は、判断や意思決定をサポートするための、あくまでも補助的な資料です。
- 「エビデンス」だけに頼るのではなく、状況に応じた、柔軟な対応が求められます。
「エビデンス」と関連する概念
- アカウンタビリティ(説明責任)
「エビデンス」は、アカウンタビリティを果たす上で、重要な役割を担います。 - 内部統制
企業が業務を適正かつ効率的に行うための仕組み。「エビデンス」は、内部統制を強化する上でも有効です。 - 監査
業務が適正に行われているかを、第三者が調査・検証すること。「エビデンス」は監査の際に、重要な資料となります。
「エビデンス」の今後
デジタル技術の進展に伴い、「エビデンス」の取得・管理方法は、今後ますます多様化していくと考えられます。
- ブロックチェーン技術
データの改ざん耐性を向上させ、「エビデンス」の信頼性を高める技術として期待されています。 - AI(人工知能)
膨大なデータから、必要な「エビデンス」を、効率的に抽出・分析する技術として活用が進んでいます。
「エビデンス」の使用例
-
「この仕様変更について、エビデンスを残しておいてください」
仕様変更に関する記録を、残しておくよう指示する。 -
「エビデンスを確認したところ、問題の原因は〇〇であることがわかりました」
証拠となる情報を確認した結果、問題の原因が特定できたことを報告する。 -
「契約内容について、エビデンスを提示してください」
契約内容を証明する書類を、提示するよう要求する。 -
「このバグを修正したエビデンスとして、テスト結果の画面キャプチャを添付します」
バグ修正の証拠として、テスト結果の画像を添付することを伝える。 -
「会議での決定事項について、後で確認できるよう、議事録をエビデンスとして保管しておきます。」
会議の内容を、後から確認できるよう、記録し、保管することを伝える。 -
「先日のメールが、契約締結のエビデンスとなります。」
メールの送受信記録が、契約が成立した証拠となることを説明する。
「エビデンス」を残す際の注意点
- 正確性
エビデンスとなる情報は、正確でなければなりません。 - 客観性
主観的な意見や推測ではなく、客観的な事実を記録する必要があります。 - 網羅性
必要な情報が、漏れなく記録されていることが重要です。 - 保管方法
エビデンスは、適切に保管・管理する必要があります。 - 機密性
機密情報を含むエビデンスは、情報漏洩に注意する必要があります。
「エビデンス」と関連する用語
- トレーサビリティ
追跡可能性。作業工程や、変更履歴などを、後から追跡できること。 - ログ
コンピュータやシステムなどの、イベントや操作の記録。 - 監査証跡
情報システムへのアクセスや、操作の記録。 - コンプライアンス
法令や社内規程などを遵守すること。