「キュレーション(Curation)」とは、膨大な情報の中から、特定のテーマや目的に沿って、情報を収集・選別・整理し、新たな価値を付加して共有することを指します。
元々は、博物館や美術館で、展示物の収集や、企画・管理を行う専門職である「キュレーター(Curator)」の仕事を表す言葉でした。
しかし、インターネットの普及により、情報が爆発的に増加した現代において、情報の海から価値ある情報を、見つけ出す「キュレーション」の重要性が増し、ビジネスやITの分野でも、広く使われるようになっています。
語源
「キュレーション(Curation)」の語源は、英語の”curation”です。 ラテン語の”cura”(世話、配慮、注意)を語源とし、「管理」「世話」などの意味を持つ名詞です。 動詞形の”curate”は、「(展示会などを)企画・運営する」という意味になります。
「キュレーション」と「収集」との違い
「キュレーション」の種類
「キュレーション」は、扱う情報や、提供方法によって、様々な種類に分類できます。
- コンテンツキュレーション
ウェブ上の記事、ブログ、動画などのコンテンツを、特定のテーマに基づいて、収集・選別・整理し、共有すること。 - データキュレーション
大量のデータの中から、必要なデータを抽出・選別・加工し、わかりやすく提示すること。 - ソーシャルキュレーション
ソーシャルメディア上の投稿や、情報を収集・選別・整理し、共有すること。 - キュレーションサイト/アプリ
特定のテーマに基づいて、情報を収集・選別し、提供するウェブサイトやアプリ。(例:ニュースキュレーションサイト、まとめサイト) - キュレーションコマース
専門家や、インフルエンサーなどが選んだ商品を販売する、ECサイトの一形態。
「キュレーション」の目的
「キュレーション」を行う目的は、情報の受け手と、発信者、双方にメリットをもたらします。
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情報の受け手側のメリット
- 情報の海から、価値ある情報を、効率的に入手できる。
- 専門家や、インフルエンサーの視点を通して、情報を得られる。
- 自分では、見つけられなかった情報に出会える。
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情報の発信者側のメリット
- 自社のコンテンツや、商品・サービスの認知度向上。
- ブランディング、ファン獲得。
- 集客、販売促進。
「キュレーション」の具体例
- ニュースキュレーションサイト
複数のメディアから、特定のテーマに関するニュース記事を集め、まとめて提供するウェブサイト。(例:SmartNews、Gunosy) - まとめサイト
特定のトピックに関する情報を、インターネット上から収集し、まとめたウェブサイト。(例:NAVERまとめ、Togetter) - キュレーターによる商品紹介
専門家やインフルエンサーが、特定の商品を選び、その特徴や魅力を、独自の視点で紹介する。 - 美術館や博物館の展示
学芸員が、特定のテーマに基づいて、作品を選定し、展示を構成する。
「キュレーション」の使用例
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「彼は、IT業界の最新情報をキュレーションして、毎日配信している」
彼が、IT業界の最新情報を収集・選別し、定期的に配信していることを説明する。 -
「このキュレーションサイトは、ファッションに関する情報が充実している」
特定のキュレーションサイトが、ファッション情報に特化していることを説明する。 -
「キュレーションコマースは、近年注目されているビジネスモデルだ」
専門家や、インフルエンサーが選んだ商品を販売する、ECサイトが注目されていることを説明する。 -
「彼女は、有名なキュレーターとして、様々なメディアで活躍している」
彼女が、情報を選別・編集する専門家として、多方面で活躍していることを説明する。 -
「企業は、オウンドメディアで、自社に関連する情報をキュレーションして発信している」
企業が、自社で運営するメディアで、情報発信を行っていることを説明する。 -
「良質なコンテンツをキュレーションするには、専門知識と、審美眼が不可欠だ」
価値のある情報を選び抜くためには、専門知識と、優れた判断力が必要であることを説明する。
「キュレーション」のメリット
- 情報の海で、価値のある情報を、効率的に入手できる
- 専門家の視点を、参考にできる
- 新たな情報や、気づきを得られる
- コンテンツ制作の、時間と労力を削減できる
- ブランディング、集客などに活用できる
「キュレーション」のデメリット
- 情報の信頼性や、正確性の担保が難しい
- 著作権侵害のリスクがある
- 情報の偏りが生じる可能性がある
- オリジナリティの欠如
- キュレーターの主観に、左右される
「キュレーション」と関連する用語
- キュレーター
情報を収集・選別・編集する人。 - コンテンツマーケティング
価値あるコンテンツを提供することで、顧客との関係を構築し、購買意欲を高めるマーケティング手法。 - オウンドメディア
企業が自社で所有・運営するメディア(ウェブサイト、ブログ、SNSアカウントなど)。
インターネットの普及により、情報過多となった現代において、「キュレーション」の重要性はますます高まっています。
ビジネスやITの分野では、マーケティング、ブランディング、コンテンツ制作など、様々な場面で活用されています。
この解説が、「キュレーション」についての理解を深める助けになれば幸いです。