「金銭選手」(キン・セン選手と表記されることもあります。)とは、FAで選手が移籍した際に、旧所属球団が金銭補償のみを受け取った場合に、その補償金で獲得したとみなされる「架空の選手」を指すネットスラングです。
FA制度では、人的補償と金銭補償のどちらかを選択できますが、近年は人的補償を選択するケースが減少し、金銭補償を選択するケースが増えています。
その理由としては、プロテクトリストから外れた選手を獲得しても、戦力アップに繋がらないケースが多いことや、金銭補償によって得た資金で、より的確な補強ができるという考え方が広まっていることが挙げられます。
このような状況下で、金銭補償を選択する球団が増えた結果、「金銭選手」という言葉が生まれたと考えられます。
プロ野球のFA制度における「金銭補償」とは?
プロ野球のFA制度とは、一定の条件を満たした選手が、自分の意思で球団を選んで移籍できる制度です。
この制度は、選手の権利保護と球団間の戦力均衡を目的として導入されました。
FA制度を利用して選手が移籍する場合、旧所属球団は、選手の移籍によって生じる戦力ダウンを補うために、新所属球団から「補償」を受け取ります。
この補償には、「人的補償」と「金銭補償」の2種類があります。
「人的補償」は、新所属球団がプロテクトリスト(28人)から外れた選手を旧所属球団に譲渡するものです。
一方、「金銭補償」は、新所属球団が旧所属球団に金銭を支払うことで、選手を獲得する権利を得るものです。
金銭補償の額は、FA選手の年俸ランクに応じて異なり、ランクが高い選手ほど高額になります。
ちなみに、選手の平均選手寿命は約9年で、平均引退年齢は約29歳といわれています。 FA権取得までにかかる期間は、入団から平均11年以上、平均年齢は32歳を超えているため、選手寿命のほぼすべてを費やすことになります。
また、金銭補償の額は、FA選手が初めてFA宣言をしたのか、2回目以降のFA宣言なのかによっても異なります。
FAの種類 | 人的補償 | 年俸Aランク選手 | 年俸Bランク選手 | 年俸Cランク選手 |
---|---|---|---|---|
初回FA | なし | 旧年俸の80% | 旧年俸の60% | なし |
初回FA | あり | 旧年俸の50% | 旧年俸の40% | なし |
反復FA | なし | 旧年俸の40% | 旧年俸の30% | なし |
反復FA | あり | 旧年俸の25% | 旧年俸の20% | なし |
FA制度で選手が移籍した場合、なぜ金銭補償が発生するのか?
FA制度は、選手の権利を保護する一方で、球団間の戦力バランスを維持することも目的としています。
優秀な選手がFAで移籍すると、旧所属球団は戦力ダウンを避けられません。
そこで、金銭補償によって旧所属球団が新たな選手を獲得したり、育成したりするための資金を提供することで、戦力均衡を保とうとしているのです。
MLBでは、FAで選手を獲得した場合、ドラフト指名権を失うルールが存在しますが、NPBのように、選手を相手チームに渡す「人的補償」というルールはありません。
「金銭選手」が使われることによって、どのような効果や影響があると考えられるか?
この「金銭選手」という言葉が使われることによって、FA制度における金銭補償の重要性が、より多くの人に認識されるようになったと考えられます。 また、FA移籍に伴う球団の思惑や、選手の価値を、ユーモラスに表現する手段としても機能しています。
まとめ
「金銭選手」は、プロ野球のFA制度における金銭補償を象徴するネットスラングです。
この言葉は、FA制度の複雑さや、球団間の駆け引きを、分かりやすく、かつユーモラスに表現する役割を果たしています。
今後も、FA制度の動向や、プロ野球ファンの間での流行語の変化によって、「金銭選手」という言葉の使われ方が変化していく可能性があります。