南海トラフ巨大地震

南海トラフ巨大地震は、日本列島に甚大な被害をもたらす可能性のある、まさに「国難」とも言える最大クラスの地震です。
この地震に備えるためには、そのメカニズム、想定される被害、そして防災対策について正しく理解することが重要です。
この記事では、南海トラフ巨大地震に関する情報を、最新の研究成果に基づいてわかりやすく解説します。

南海トラフ巨大地震の定義と発生メカニズム

南海トラフ巨大地震とは、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界である南海トラフで発生する巨大地震です。 静岡県の駿河湾から日向灘までの海域を震源域とし、マグニチュード9クラスの地震が想定されています。
約90~265年の間隔で発生しており、 過去の地震では津波による甚大な被害が発生しています。

この地震が発生するメカニズムは、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込む際に、プレート境界にひずみが蓄積され、それが限界に達するとプレートが跳ね上がることで発生します。
このプレートの沈み込みは年間数cmというゆっくりとした速度で進行しており、 長い年月をかけてひずみが蓄積されていきます。

南海トラフ地震のメカニズム
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin/nteq/nteq.html

想定される震源域と規模

南海トラフ巨大地震の想定震源域は、駿河湾から日向灘沖までの南海トラフ沿いの広範囲に及びます。
地震の規模はマグニチュード9クラスと想定されており、 静岡県から宮崎県にかけての一部地域では震度7の揺れが想定されます。 また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える津波が来襲すると想定されています。
広い範囲で強い揺れが2~3分続き、 津波が太平洋や瀬戸内海などで発生するとされています。

歴史的な発生状況と周期性

南海トラフでは、過去1400年間で約90~265年の間隔でマグニチュード8クラスの巨大地震が発生してきました。
近年では、1944年の昭和東南海地震と1946年の昭和南海地震がこれに該当します。 これらの地震から70年以上が経過しており、次の南海トラフ巨大地震発生の切迫性が高まっていると考えられています。 

南海トラフ地震の特徴として、震源域の広がりや発生過程に多様性があることが挙げられます。
過去には、想定震源域のほぼ全域で同時に地震が発生したケースや、東側半分の領域で大規模地震が発生し、時間差をもって残り西側半分の領域でも大規模地震が発生したケースなどがあります。
前回の南海トラフ地震である昭和東南海地震と昭和南海地震は約2年の時間差をもって発生しました。 

Year Magnitude Affected Area Key Characteristics
1361年 足摺岬沖から御前崎沖
1605年 伊豆・小笠原海溝 揺れが小さいが、大きな津波
1707年 南海トラフのほぼ全域 東海から四国までの全域が破壊
1854年 遠州灘沖から駿河湾
1854年 南海道沖
1944年 M8.0 紀伊半島東部の沖 断層のすべりが御前崎より西側で止まった
1946年 M8.0 潮岬付近 四国沖の土佐海盆付近まで震源域

南海トラフ地震の多様性

過去の南海トラフ地震を詳しく見てみると、同じような地震が繰り返し起きているわけではないことがわかります。
例えば、1944年昭和東南海地震と1854年安政東海地震では、強く揺れた場所が異なっており、プレート境界の異なる場所が破壊された可能性があります。
また、1707年の宝永地震は、既知の南海トラフ地震の中で最大級であり、特に西側における津波の被害が非常に大きかったという特徴があります。
このように、南海トラフ地震は、発生するたびに異なる特徴を持つため、次の地震がどのような規模や被害をもたらすのかを正確に予測することは困難です。 

長周期地震動

地震が発生すると、ガタガタと小刻みに揺れる周期の短い揺れに加え、船に乗っているような周期の長い揺れである「長周期地震動」が発生します。
長周期地震動は、震源が浅く、マグニチュードが7以上の巨大地震の場合に大きくなりやすく、周期の短い波に比べて遠くまで伝わる特徴があります。

建物には、それぞれ固有の揺れやすい周期(固有周期)があり、建物が高いほど長くなります。
超高層建築物など固有周期の長い建物は、長周期地震動と共振して大きく揺れるため、家具の転倒や建物の損傷など、深刻な被害が発生する可能性があります。   

津波やその他の被害

南海トラフ巨大地震が発生した場合、地震による揺れに加えて、巨大な津波による被害が想定されます。
津波は太平洋沿岸だけでなく、大阪湾や瀬戸内海にも到達すると考えられています。 また、地震による揺れによって、建物倒壊、火災、液状化現象、土砂災害などの被害が発生する可能性があります。 

さらに、ライフラインへの影響も懸念されます。内閣府の発表によると、南海トラフ巨大地震が発生した場合、上水道は最大で約3,440万人が断水し、下水道は最大で約3,210万人が利用困難になると想定されています。
また、電力は最大で約2,710万軒が停電し、都市ガスは最大で約180万戸の供給が停止するとされています。 道路や鉄道などの交通網も大きな被害を受け、復旧には長期間を要すると予想されます。

防災対策と備え

南海トラフ巨大地震への防災対策としては、以下の点が重要です。

  • 家具の固定: 家具の転倒による負傷を防ぐため、家具を固定する。
  • 非常持出袋の準備: 避難時に必要なものをまとめた非常持出袋を準備する。
  • 食料・飲料水の備蓄: 少なくとも7日分の食料・飲料水を備蓄する。
  • 避難場所・経路の確認: 避難場所や避難経路を事前に確認しておく。
  • 建物の耐震化: 建物の耐震診断を受け、必要があれば耐震補強を行う。
  • 家族・地域との連携: 家族や地域で防災について話し合い、協力体制を築く。

政府、地方公共団体、企業、そして地域住民がそれぞれ役割を担い、連携して防災対策を進めることが重要です。 また、防災訓練の実施や防災意識の向上に向けた広報活動も重要です。

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結論

南海トラフ巨大地震は、日本列島に大きな被害をもたらす可能性のある地震です。
しかし、日頃から地震への備えをしておくことで、被害を軽減することができます。
南海トラフ地震は、その発生メカニズムや過去の発生状況から、震源域の広がりや規模、発生時期など、様々な点で不確実性を伴う地震であることがわかります。
このような不確実性があるからこそ、あらゆる可能性を想定した上で、柔軟かつ総合的な防災対策を講じておくことが重要です。

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