雪起こしとは、初冬に日本海側で発生する、雪を伴う雷のことです。
林業においては、雪害による林木の被害を防ぐための作業を指すこともあります。
雷鳴がまるで冬眠している雪を起こすように聞こえることから、この名前が付けられました
地方によっては、「雪おろし」「鰤(ブリ)起こし」「鰰(ハタハタ)起こし」など、様々な呼び名で呼ばれています 。

雪起こしのメカニズム

雪起こしは、冬型の気圧配置が強まった時に発生しやすくなります 。シベリアから吹き付ける冷たく乾いた空気と、日本海の暖かい水蒸気が混ざり合い、日本列島の山脈にぶつかると、積乱雲が急速に発達します。
この積乱雲が、激しい雪と雷をもたらし、大雪を引き起こすことがあります 。

雪起こしの発生時期とタイミング

雪起こしは、主に初冬、つまり11月から12月頃に発生します。
この時期は、シベリア気団が発達し、日本海側に強い寒気が流れ込みやすくなるためです。
雪起こしは、大雪の前兆現象として知られており 、雷鳴が轟いた後に、激しい雪が降り始めることが多いようです。 

雪起こしを発生させる気象条件

雪起こしは、以下の気象条件が重なった時に発生しやすくなります。

  • 強い冬型の気圧配置:シベリア気団が発達し、日本海側に強い寒気が流れ込んでいる状態。
  • 日本海の海水温が高い:暖かい水蒸気が供給され、積乱雲が発達しやすくなる。
  • 上空に寒気が流れ込んでいる:大気の状態が不安定になり、積乱雲が発達しやすくなる。

雪起こしに関する豆知識

雪起こしは、世界的に見ても珍しい現象です。日本以外では、ノルウェーの西海岸やアメリカの五大湖周辺で観測される程度です 。また、雪起こしの雷は、夏に発生する雷と比べて、放電時間が長く、エネルギーが大きいという特徴があります。

雪起こしは、冬の雷であるため、「冬季雷」と呼ばれることもあります 。日本海側では、夏よりも冬の方が雷が多い地域があります 。例えば、金沢では、7月と8月の雷日数は約3日ですが、12月と1月は6~7日です。これは、冬型の気圧配置の影響で、日本海側で積乱雲が発達しやすいためです。

雪起こしは、地域や現象の特徴によって様々な呼び名があります。

雪起こしと関連する用語

地域 呼び名
北海道 雪起こし
雪おろし
鰤起こし
鰰起こし
一発雷
富山湾 鰤起こし

雪起こしに関する文化

雪起こしは、古くから人々の生活に密接に関わってきました。
特に、漁業や農業を営む人々にとっては、雪起こしは、冬の到来や大雪の予兆を告げる重要な現象でした。

  • 鰤起こし:富山湾では、初冬の雷が鰤を誘い出し、豊漁の前兆となるとされています 。
  • 雪起こし:雪国では、雪起こしの雷鳴を聞いて、冬の到来を感じ、雪への備えを始めるという風習がありました。

林業における雪起こし

雪起こしは、林業においても重要な意味を持ちます。雪起こしとは、雪圧によって倒伏した幼齢木を起こし、縄などで固定して、木を垂直に育てる作業のことです。
雪解け後すぐに作業を行わないと、幹の肥大成長によって元に戻らなくなったり、幹に傷がついたりする可能性があります 。

雪起こし時の注意点

雪起こしは、しばしば大雪の始まりを告げる現象です。そのため、雪起こしが発生した際には、以下の点に注意することが大切です。

  • 車の運転: 雪道では、スリップによる事故の危険性が高まります。急な車線変更や急ブレーキは避け、先行車との車間距離を十分にとりましょう。
  • 屋外での活動: 雪下ろしや雪かきなど、屋外での活動は、転倒や落雪による事故に注意が必要です。作業は複数人で行い、無理のないようにしましょう。

まとめ

雪起こしは、冬の日本海側で発生する、雪を伴う雷のことです。
強い冬型の気圧配置と日本海の暖かい水蒸気、そして上空の寒気が重なることで発生します。
雪起こしは、大雪の前兆現象として知られており、古くから人々の生活に密接に関わってきました。林業においても、雪起こしは、雪害から木を守るための重要な作業です。雪起こしは、冬の訪れを告げ、自然の力強さを私たちに感じさせる、日本海側特有の興味深い気象現象です。

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